中国、イスラエルを厳しく非難「国際法を深刻に違反し、イランの主権を侵害」

【北京発】中国政府は27日、イスラエルがイラン領空での軍事活動を強化していることに対し、「国際法を深刻に違反し、イランの主権を著しく侵害した」と厳しく非難した。中国外務省の毛寧報道官は記者会見で、「中東地域の緊張を激化させるような行動は断じて容認できない」と強調した。

毛氏はさらに、「すべての国が国連憲章を順守し、他国の主権と領土保全を尊重することが不可欠だ」と述べ、中国は国際社会と共に平和と安定の維持に努力すると明言した。中国は長年にわたり中東問題において中立的立場を取り、対話による解決を推奨してきた。

今回の発言は、イスラエルがイラン領空内での偵察やドローン攻撃を強化していると報じられている中で出された。イスラエル政府は安全保障上の理由から詳細を明かしていないが、イラン政府はこれらの行動を「主権の重大な侵害」として非難している。

中国はイランと経済的・戦略的に強い関係を築いており、2021年には25年間の包括的な協力協定を締結している。今回の声明は、その関係性を背景にしたイラン支持の一環と見られる。

国際社会の一部では、イスラエルの行動が域内のさらなる軍事的衝突を誘発しかねないとの懸念も広がっている。中国の発言は、国際的な圧力を高める意図があると同時に、自国の外交的影響力の強化を図る狙いもあると専門家は分析している。

今後、中国がどのような具体的行動をとるのか、またイスラエルやイランがどのように反応するのかが注目されている。中東地域の平和と安定にとって重要な転機となる可能性もある。